top of page

「専門家」という言葉が持つ、不思議な力

執筆者の写真: jameschappell2
jameschappell2
8月13日
読了時間: 3分

たった一つの言葉で、人の考え方や感じ方、行動は驚くほど一瞬で変わることがあります。


ビジネスの世界で、特に強い力を持つ言葉の一つが、**「専門家」**かもしれません。


何年か前、あるグローバル製薬会社で働いていた知人から、興味深い話を聞きました。


その会社では、イノベーションチームを率いるために、ある男性を迎え入れました。経歴だけを見れば、まさに適任でした。前職では、本当に革新的なプロジェクトを二つ成功させ、大きな評判を得ていました。ちょっとした有名人だったそうです。


彼は「イノベーションの専門家」でした。


話を聞いていると、その「専門家」という肩書きは、強い香水のように、彼が参加するあらゆる議論について回っていたように思えます。誰も口にする必要はありません。そこにいる全員が、その存在を感じていました。


やがて彼は、どのアイデアに取り組む価値があるのかを判断する、ある種の門番のような存在になっていきました。評判に応えなければというプレッシャーがあったのかもしれません。あるいは、自分の判断にかなりの自信を持つようになったのかもしれません。実際のところは分かりません。


でも、周りの人たちも影響を受けていました。ただ、その反応は人それぞれでした。

すぐに彼の判断に従う人もいました。身構える人もいました。それまでは普通に話していたのに、発言をためらうようになった人もいました。


逆に、専門家に挑み、間違っていることを証明しようとする人もいました。そして、まったく話さなくなった人もいました。


その製薬会社のイノベーションチームは、結局、これといった成果を上げることはなかったそうです。


もちろん、理由はいくつもあったと思います。でも私はずっと気になっています。その場にいた人たちの頭とエネルギーは、本来取り組むべき課題そのものにどれくらい向けられていたのか。そして、「専門家」がそこにいることへの反応に、どれくらい使われていたのか。


だからといって、専門性に価値がないという話ではありません。


専門性とは、その人が長い時間をかけて、多くの知識や経験、判断力を身につけてきたということです。すべての答えを知っている、という意味ではありません。


企業が「専門家」という言葉を使うのにも、十分な理由があります。社外に向けては、専門性を示すことが顧客からの信頼につながります。ただ、社内では、この言葉との付き合い方をもう少し意識したほうがいいのではないかと思います。


大切なのは、「専門家」がその場に入ってきたとき、自分の中で何が起きるのかに気づくことかもしれません。自分自身が「専門家」とされる側の場合も含めて。そして、最初に出てきた反応に、そのまま引っ張られないことです。


そもそも、目指しているのはイノベーションです。誰かがすでに答えを持っているのなら、最初から議論する必要はありません。


その場に「専門家」がいるとき、あなたには何が起こりますか?



 
 
 

コメント


bottom of page