人の成長にROIって、本当に出せるんでしょうか。

人の成長にROIって、本当に出せるんでしょうか。
今朝、私が凧を飛ばしたから、明日こっちに来る台風が発生した――と言うのと、ちょっと似ている気がします。
それでも、人材育成のROIは今でもよく語られます。では、少し考えてみます。
人が成長する時、本当に大事な瞬間っていつでしょうか。たぶんそれは、誰にも見えない瞬間です。
ある場面に出会って、
「前まではこうしてたな」
「でも、今は少し違って見える」
「じゃあ今回は、こっちでやってみよう」
と、頭の中で選び方が変わる。
私は、そこが実際の変化だと思っています。でも、その瞬間は測れません。
では、その後の行動なら測れるでしょうか。もちろん、測れるものはたくさんあります。
発言回数も測れます。アンケートも取れます。上司に「変化を感じましたか」と聞くこともできます。売上や離職率を見ることもできます。
ただ、そこで一つ困ることがあります。その数字は、本当に自分たちが思っている意味を持っているのか。
これは、かなり分かりにくい。
たとえば1時間の会議の中で、その人の頭には一体いくつの考えが浮かんでいるでしょうか。100個浮かんで、そのうち99個は「今は言う必要がない」と判断して捨てたかもしれません。
それは「発言を控えている」のでしょうか。それとも、単に判断が良くなったのでしょうか。変化がもっと小さいこともあります。
前なら反応していたことを、今回はあえて放っておく。余計な話に乗らない。すぐ言わずに、少し待つ。外から見ると、ほとんど何も変わっていないように見えるかもしれません。
逆に、分かりやすく行動が変わったとしても、「それは研修のおかげです」と、どこまで言えるのでしょうか。たぶん仮説は立てられます。
でも、仮説から「証明」まで行く方法は、私にはよく分かりません。
とはいえ、何も測らなければ、今度は何でも言えてしまいます。
「この研修で人が変わりました」
「組織が成長しました」
「効果がありました」
それも困ります。
つまり、かなり厄介な話です。ただ、私はクライアントに、
「人の頭の中で起きる、外から確認できない変化を測定します」とは、どうしても言えません。私なりに「成長しているかもしれない」と見る時のポイントはあります。
でも、アンケートや点数やアセスメントではありません。それも完璧ではないです。
ただ、きれいな数字を作って分かった気になるよりは、まだましだと思っています。
みなさんは、人材育成が本当に役に立っているのか、それとも予算を使っているだけなのか、何を見て判断していますか。
私はとりあえず、もう一度凧を飛ばしてみます。
今度こそ、台風を動かせるかもしれません。




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