解決策の密輸人:アドバイスが「質問」のふりをするとき

「質問があります……私の意見について、どう思いますか?」
……え、それが質問??
企業研修の講師をしていた頃、こんな場面を何度も見ました。ちょっと小難しいハーバード・ビジネス系の理論を説明したあと、誰かが手を挙げて「質問があります」と言う。そして、そのまま自分の意見を話し始める。
話し終わると、ちょっと気まずい沈黙が流れます。……質問が、どこにもなかった。本人も「あ、質問するの忘れた」と気づいて、慌ててこう付け加えます。
「どう思いますか?」
笑ってしまう話ですが、実は私たちの多くが、もっと巧妙な形で同じことをやっている気がします。誰かから難しい状況について相談されると、ほとんど瞬間的に、こちらの頭の中に解決策が浮かびます。その人が抱えている細かい事情を背負っていない私たちには、答えがとても簡単に見える。
そのままアドバイスしてもいい。でも、頼まれてもいないアドバイスをすると嫌がられることもあるので、自分の答えを「質問」に着替えさせることがあります。
「シックスシグマ分析はやってみた?」 (シックスシグマを知らないことを神に祈りながら……)
「うまくいかなかったのは、上司が何でもコントロールしたがって、あなたの話を聞かないからじゃない?」
「代わりに、昇進について交渉してみたら?」
一応、質問です。最後に「?」がついているし、語尾も上がっているし、顔だって「質問してます」という顔をしている。でも実際には、どの質問にも自分の答えが密輸されています。
しかも、中にはもう一つ答えが隠れています。その人がどうやって問題を解決すべきかだけではない。いつ解決すべきかまで決めている。
今すぐ。あなたの判断で。
実は私も、たった2日前のコーチングでこれをやりました。私も無実ではありません。「そんなことはしません」という顔をして仕事をしていますが、私も立派な「解決策の密輸人」になります。
ただ、自分が密輸しようとしていることに気づくと、ときどき、もっといい質問が見つかります。相手が何と答えるのか、私自身も本当にわからない質問。答えを出すまでのカウントダウンを勝手に始めない質問です。
「これは以前にも経験したことがありますか?」
「時間が経つにつれて、良くなっていますか? それとも悪くなっていますか?」
「これは、他にやりたいことや、やらなければならないことに、どんな影響がありますか?」
クローズド・クエスチョンも、自動的に「悪い質問」になるわけではありません。むしろ、ときには選択肢を増やしてくれる。一言だけで答えてもいい。話したければ、もっと話してもいい。
最近、私は質問にはこんな違いがあると感じています。相手にほとんど余地を残さない質問もある。一方で、相手の注意をある方向には向けるけれど、その質問をどう受け取るか、どこまで話すか、そしてそもそも今、何かを解決する必要があるのかについて、かなり自由を残す質問もある。
私にとって、一番優秀なバロメーターは妻です。自分の解決策やタイミングや解釈を、無邪気な質問のふりをして密輸しようとすると、鋭い「イラッ」の視線が飛んできます。
逆に、たまたま役に立つ質問ができたときは、妻は私から視線を外して、自分の頭の中に入っていきます。振り返ったり、考えたり、探したり。すぐ答えることもある。答えないこともある。
今日は密輸しなかった。よし!
もちろん、私にも「自分はこう見えている」と伝えたいときがあります。でも、なるべくそれを質問に変装させないようにしています。
「私はこう見えている。間違っているかもしれない。ただ、奇跡的に何かの役に立つかもしれないので、私の見方も伝えておきたかった」
そんな感じです。
すると、ときどき相手から何の反応もない。無表情。
そして焦った私は、自分がいつも笑いものにしている、あの一言を口にしてしまいます。
「……どう思いますか?」笑




コメント